4/28 タラオCC

第2話 15番ロングでの起きた普通ではありえないこと



それはなんと この日に吹いた 木枯らし1号 の強風で
相手の長澤選手のボールがカップが切られている上の段から
コロコロと下の段に落ちて来たのです。

そんな馬鹿な!
ショットを打ち終わってから何分もたっているのに・・・
ゴルフ漫画ぐらいでなければあり得ないことがが、現実に起きるなんて!

爺にとっては、相手のバーディパットを阻止してくれたまさに「神風」
しかし、相手にとっては悔しすぎる「強風」いや「兇風」でしょう。

とりあえず、条件は同じになりました。
でも、1m強の段差を落ちてきたとはいえ、
爺のボール(約12歩)の方が少し遠いです。

マッチプレーでは打つ順番は「遠球先打」が絶対です。
もし、これを相手の了解なしに順番を間違えて打ってしまったら、
やり直しを請求されてもルール上、文句が言えません。


爺が先に打たなければなりませんが、
バーディチャンスの球が風で落ちるくらいですから、
段差を上がりきった すぐのところに カップが切られています。
弱ければ、また戻されてしまいます。
強ければ、返しのパットが難しくなって3パットの可能性があります。

「南無サン!!」  と、祈りながら打ったボールは、
右にスライスすると読んだのに ボールの強さで思ったほど曲がらず
カップの左80cmに止まってくれました。

次は長澤選手です。 長澤選手は約8歩ぐらいの距離でしたが、
カップの右90cmくらいに付けました。

ここでも「遠球先打」のルールです。
長澤選手が先に打たなければなりません。

「銀のゴルフ」などで、相手が入れてくると思っていれば
入った時の心のダメージが少なくて済む・・・と、分かってはいたものの・・・
入ったら、
今度は自分が必ず入れなくては このホールが負けになってしまいます。
外してくれたら、どんなに気持ちが楽になるか・・・

もう、相手のパットを 見ていることが出来ません。
違う方を向いて、目をつむって、天を仰いでいました。

しかし、 「カラ〜ン!」 聞こえてきたのは カップインの音でした。

                                          つづく

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