4/28 タラオCC

第5話 17番ホール

36ホールのマッチプレイも 残すところ2ホールのみ

Upとはいえ、残された17番ホール422Y、18番ホール412Yの長いミドルホールは

ロングヒッターの長澤選手が有利です。

準決勝戦で18番池越え最終ホールをピッチングウエッジで乗せた長澤選手は

「あり得へん!僕やったらウッドかユーティリティーや!」と他の選手を震撼させました。

 

2ホール続けて負けると、エキストラホールでのサドンデスになります。

エキストラホールの1番ホールは485Yのロングホール、

れまた、いつもアイアンで2オンしている長澤選手が有利です。

勝利の女神は、どちらに微笑むのかまだまだ分かりません。

・・・・・・・・

 

「あ!」と叫び声の出た長澤選手のボールは、右上空はるか!

「手が滑った・・・」と、とても悔しそうでした。

 

次は爺の番です

午前中のこのホールでは、Tショットを右の林の中に打ち込んでOBになりましたが、

「地球の裏側まで突き刺すようなどっしりとしたアドレスで」

「両膝を動かさないで、左肩を90度回すように」

「スウイングプレーン上にあげ」

「ゆっくり最後まで振り切って」打ったボールは今日一のナイスショット

 

セカンド地点に移動してみると、

長澤選手のボールは 残り120Yくらいの右ラフの中

爺のボールは    残り160Yフェアウエイセンターです。

 

フォローの風だったので、5Uで打ったボールは

ハーフトップながらなんとかオンしてくれました。

長澤選手ももちろん、ナイスオン!

 

いよいよ勝負はグリーン上に・・・ 長澤選手は上り9m、爺は下り8m

 

先に打つ長澤選手のパットを、またしても、見ていることができません。

入ればバーディ、下り8mの爺は 同じように1発で入るとは思えません。

 

が、しかし、カップインの音は聞こえず、カップの左淵、10cm、OK!」

 

次は爺のパットです

 

クラブ競技の中で最も権威のある選手権に合わせた高速グリーンの下り8mは 容易ではありません。

去年の山中選手との決勝戦、ワンオンした14番ショートホールでの3パットの苦い思い出も・・・

しかし、このボールを2回で沈めれば、 勝てる! 長い間追い続けてきた自分の夢が叶う!

 

・・・・・・・・・

「スミマセン!!」

一旦、アドレスしたものの、

余計なことを考えてどうしてもいいイメージがなかったので、

もう一度、ラインを読みなおすことにしました。

 

下り、8m、ほぼストレート、方向よりも距離感だ!

カップに寄せることだけを考えて打とう!

このボールを あのカップに近づける!

・・・・・・・・

コッ、と、撫でられたように打たれたボールは

トロ、トロ、トロ・・・と 今にも止まりそうになりながらも

カップの右淵15cmに留まってくれたのです。

 

長澤選手からの「OK」は出ません。

それもそうです。

たとえ15cmでも、もし外れればこのホールの「勝ち」になるのですから・・・

 

OKで勝つより、自分の手で!!

慎重に ボールの赤道を真っ二つに切るように打ったウイニングパットは・・・

 

最終編につづく・・

inserted by FC2 system